メルマガとは?BtoBでの始め方と続け方
この記事の結論
- BtoBのメルマガは、検討が始まるまで覚えてもらうための接点です。
- 配信ツールは到達率、絞り込み、営業連携、運用負荷の順に見ます。
- 反応した相手を営業に渡す段取りまで決めて、はじめて成果になります。
展示会や問い合わせで名刺は増えたのに、その後の連絡が途切れたまま数か月が過ぎることがあります。BtoBは企業どうしの取引のことで、その営業ではよくある状況です。この記事を読むと、自社でメルマガを始めるべきか、始めるなら何から整えるかを判断できるようになります。
BtoBのメルマガとは?何のために送るのか
BtoBのメルマガとは、検討が始まるまでのあいだ、自社を思い出してもらうために送る定期的なメールです。今すぐ受注を取るための手段とは、役割が違います。
メルマガの定義と、一斉配信という仕組み
メルマガとは、登録した読者に同じ内容のメールをまとめて届ける配信のことです。
目的は、こちらから定期的に接点を作り続けることにあります。仕組みは単純で、宛先のリストを選び、1通の文面を同時に届けます。会社名や担当者名だけを差し込みで変える形が一般的です。1通ずつ書く手間をかけずに、多くの会社へ同じ情報を届けられます。
BtoBで送る目的は「商談が起きるまで覚えてもらうこと」
BtoBの購買は、社内で課題が表に出たときに動き出します。そのとき思い浮かぶ会社が、声をかけてもらえる会社です。メルマガは、そのときまで名前と役割を覚えてもらうために送ります。
すぐに反応がなくても、配信は無駄になりません。例えば、500社に送って返信が2件だったとします。残りの498社のうち何社かは、件名だけは目にしています。半年後の相談相手として候補に残る効果は、開封数だけでは測りきれない部分です。
どんな会社が向いているか(検討期間が長い商材)
向いているのは、検討に数か月かかり、決裁に複数人が関わる商材です。業務システム、設備、人材サービス、研修やコンサルティングなどが当てはまります。担当者が興味を持っても、予算の時期まで動けない場面が多いからです。
一方、単価が低くその場で決まる商材は、広告や検索からの導線のほうが早く成果につながります。自社の商材がどちらに近いかを先に見極めておくと、配信にかける時間を決めやすくなります。
営業メール・ステップ配信・SNS発信とは何が違うのか
営業メール・ステップ配信・SNS発信とは、いずれも顧客との接点を作る手段で、SNSは利用者どうしがつながるサービスです。メルマガとの違いは、送る相手と、送るタイミングの決まり方にあります。並べて整理しておくと、どれから始めるかを決めやすくなります。
一斉配信と、1対1の営業メールの違い
営業メールは、特定の1社に向けて、その会社の状況に合わせて書きます。目的は返信や商談の打診です。メルマガは、登録済みの相手全体に同じ内容を届けます。目的は返信ではなく、接触を続けることです。
同じ相手に両方を送っても問題はありません。メルマガで関心を示した相手に営業メールを送る流れは、むしろ自然です。役割の違う手段として分けて考えておくと、文面も決めやすくなります。
あらかじめ順番が決まっているステップ配信との違い
ステップ配信とは、登録した日を起点に、決めておいた順番でメールが自動で届く仕組みです。
目的は、資料請求や問い合わせの直後に、必要な情報を順番に渡すことです。1通目は資料の補足、3日後に事例、1週間後に料金の考え方、といった形です。起点の日が人ごとに違うため、届く日も人によって変わります。
メルマガは、送り手の都合で全員に同じ日に届けます。旬の話題や自社の最新情報を扱えるのが強みです。資料請求の直後だけステップ配信を利用し、その後はメルマガに合流させる組み立てが現実的です。
フォロワーに届くSNS発信との違い
SNSの発信は、フォローしている人や、表示の仕組みが選んだ人に届きます。誰に届くかを送り手が決められない点が、メルマガとの一番の違いです。拡散すれば想定外の相手にも届きますが、狙った会社に確実に届くとはかぎりません。
メルマガは、自社が持っている宛先にだけ届きます。範囲は狭いものの、相手は明確です。見込み顧客の母数を広げたい段階ではSNSが向いています。名刺を持つ相手との関係を続けたい段階では、メルマガをおすすめします。
配信の仕組みはどう選ぶ?BtoBで見るべき基準
配信ツールは、見た目の作りやすさより、届くかどうかと、反応を営業に渡せるかどうかで選びます。ここでは4つの基準を順に見ていきます。
到達率(迷惑メール扱いを避ける送信ドメイン認証への対応)
送信ドメイン認証とは、メールが本当にそのドメインから送られたかを、受信側が確かめる仕組みです。
目的は、なりすましと区別してもらい、迷惑メールへの振り分けを防ぐことです。代表的なものは3つあります。
SPFは、送信元のサーバを確かめる認証です。DKIMは、電子署名による認証です。DMARCは、認証に失敗したメールの扱いを受信側に指定する仕組みです。自社ドメインでこの3つを設定できるかを確認しておくと安心です。
大手のメールサービスは、受信側の判定基準を年々厳しくしています。認証が未設定のまま大量に送ると、受信箱に入らない可能性が高まります。設定手順が画面に表示され、設定済みかを確認できる仕組みなら、担当者だけでも進めやすくなります。
宛先リストの分け方(業種・役職・検討段階での絞り込み)
BtoBでは、同じ内容が全員に響くことはまずありません。製造業と小売業では関心が違い、現場の担当者と決裁者でも読みたい情報が変わります。業種、役職、検討段階で宛先を絞り込めるかを見ておきましょう。
絞り込めると、配信後の数字も読みやすくなります。例えば、全体の開封率が15%だったとします。業種別に見て片方が25%、もう片方が8%なら、次に力を入れる相手がはっきりします。全員に同じものを送るだけでは、この差は見えにくくなります。
開封やクリックした人を営業側に渡せるか
成果を分けるのは、配信の数字より、反応した相手を誰が追うかです。開封やクリックが相手ごとの履歴として残る仕組みなら、営業への引き渡しが滞りません。
率を見るときは、分母を「送信できた数」にそろえます。宛先不明で戻った分を混ぜると、率が実態より良く見えてしまいます。例えば、1,000件に送って50件が届かず、開封が190件だったとします。分母は950件なので、開封率は20%です。
運用できる人数と、作成にかかる手間
中小企業では、メルマガの担当が1人という体制も珍しくありません。凝った作りの配信は、担当者が異動や休みで抜けると止まりやすくなります。文章中心の簡素な形式にしておくと、無理なく続けられます。例えば、1通を30分程度で作れる形をめざすと、担当が1人でも回しやすくなります。
選ぶときは、テンプレートを保存して使い回せるか、過去の配信を複製して作れるかを見ておきましょう。この2つがあるだけで、毎回の作業時間は大きく変わります。担当が1人なら、見た目の自由度より作成の速さを優先することをおすすめします。
メルマガが続かない・読まれない原因と避け方
つまずき方には型があります。ネタ切れ、宣伝過多、リストの質、反応の放置の4つに、始める前から手を打っておくと長続きします。
ネタ切れで止まる(書く前に型を決めておく)
続かない一番の理由は、毎回ゼロから何を書くか考えていることです。始める前に話の型をいくつか決めておくと、書く時間が短くなります。ネタ探しではなく、型に当てはめる作業に変わります。
例えば、次のような型を用意しておくと回しやすくなります。
- 導入事例や、お客様から実際に受けた相談への回答
- 業界の制度変更や、公表された統計の読み解き
- 自社サービスの使い方や、運用でつまずきやすい点
- 担当者が現場で見聞きした小さな工夫
例えば、この4つの型を順番に回せば、月2回の配信で2か月分の骨組みができます。あとは中身を埋めるだけです。
自社の宣伝ばかりで開封されなくなる
読者は、送り手の都合に合わせて読んでくれるわけではありません。新商品の案内ばかりが続くと、件名だけで開かれなくなります。役に立つ情報と案内の比率を、あらかじめ決めておくと安定します。
例えば、月2回の配信なら、4通のうち1通を案内、3通を情報提供にあてる形です。案内の回も、価格表を並べるより、どんな課題を持つ会社に向くかを書くほうが読まれます。配信停止の多くは、自分に関係ない内容だと感じられることから起きます。
名刺を集めただけのリストに送って解除が増える
名刺交換をしただけの相手は、メルマガを受け取るつもりで連絡先を渡したとはかぎりません。いきなり定期配信が届くと、配信停止や迷惑メール報告につながります。報告が増えると、他の宛先への到達率にも響きます。
日本では特定電子メール法により、広告・宣伝のメールに表示が求められる項目があります。送信者の氏名や名称、住所、配信停止の方法です。初回の配信では、どこで接点を持った相手に送っているかを冒頭で伝えておくと、受け取る側も納得しやすくなります。配信停止の方法を見つけやすくしておくと、迷惑メール報告を受けにくくなり、他の宛先にも届きやすくなります。
配信して終わりで、反応が営業に渡らない
料金ページのリンクを何度もクリックした相手は、検討が動いている可能性があります。この情報が配信担当の手元で止まると、せっかくの反応が生かされません。配信のたびに、反応した相手を営業へ渡す段取りを決めておきましょう。
段取りは次の3つで十分です。
- 配信の翌営業日に、開封とクリックの記録を確認する
- 複数回クリックした相手や、料金・事例を見た相手を抜き出す
- 担当営業に名前と行動内容を渡し、連絡の要否を判断してもらう
週に一度の営業会議で共有する形でも構いません。反応が営業の行動に変わる流れがあれば、メルマガは問い合わせの入口として働きます。
まとめ
メルマガは、すぐに売上を作る手段ではなく、検討が始まるまで覚えてもらうための接点です。成果を左右するのは、頻度より、無理のないペースで続けることと、反応した相手を営業につなぐことです。配信の仕組みは、到達率、宛先の絞り込み、営業への引き渡し、運用の手間の順に見ていくと迷いません。まずは、例えば3か月分の配信テーマを書き出すところから始めてみましょう。
Amoでできること
配信を続けるうえで土台になるのは、送る相手のリストです。ここまでの進め方を一つのツールでまとめたい場合は、Amoの「Amo Mail」を利用できます。
Amo Mail は、選んだ相手にまとめてメールを送る機能です。宛先は、保存した配信先リストから選ぶほか、スコアや属性、最終行動といった条件でも絞り込めます。本文には差し込みを利用でき、名前が空欄なら「ご担当者」、会社名が空欄なら「御社」と自動で埋まります。
配信停止をした方や、メールが届かなかった方は、どの条件で絞っても宛先から外れます。送信前のプレビューで、実際に送れる件数と除外された件数を確認できます。受注・失注・対象外の段階にあるリードも既定で除外され、既存のお客様へ案内したいときだけチェックで含められます。
すべての配信メールには、配信停止リンクと差出人の表示が自動で付きます。DNSは、ドメイン名を管理する仕組みです。自社ドメインを登録してDNSのレコードを追加すれば、自社のアドレスが差出人になります。
開封とクリックはリードのタイムラインに記録され、スコアには開封で2点、クリックで3点が加算されます。反応した相手をそのまま営業の動きにつなげたい方は、ぜひ一度お試しください。
やってはいけないこと
- テーマの型を決めないまま配信を始めることは避けましょう。ネタ切れで止まりやすくなります。
- 自社の新商品案内ばかりを送り続けることは避けましょう。件名だけで開かれなくなります。
- 送信ドメイン認証を設定しないまま大量に一斉配信することは避けましょう。迷惑メールに振り分けられやすくなります。
- 配信停止を申し出た相手を、別のリストに入れて送り直すことは避けましょう。法律上も到達率の面でも問題になります。
- 開封やクリックの記録を配信担当の手元に留めたままにすることは避けましょう。検討が動いた相手を取りこぼします。
よくある質問
Q. メルマガはどのくらいの頻度で送るとよいですか?
A. BtoBでは、月1回から月2回で始める形をおすすめします。大切なのは頻度より、同じペースで続けられるかどうかです。例えば、週1回で始めて3か月後にネタ切れで止まるより、月1回を2年続けるほうが接点として働きます。慣れてから頻度を上げても遅くはありません。
Q. 開封率は何%あればよいのでしょうか?
A. 開封率は、自社の数字の推移で見る方法をおすすめします。まず3回から5回分の開封率を記録し、その平均を自社の基準にします。次の配信が基準を上回ったか下回ったかで、件名や配信時間の良し悪しを判断できます。変える点を1回に一つずつにしておくと、何が効いたかを見分けやすくなります。
Q. 件名はどのように考えればよいですか?
A. 読者が、自分に関係のある内容だとすぐに分かる件名をおすすめします。例えば、業種名や、読者が抱えていそうな課題の言葉を入れる形です。どの件名が合うかは、自社の基準の開封率と比べて見極めていくと、少しずつ傾向がつかめます。